今週は夜勤だったので、月曜日に、以前よくネブトクワガタやオオセンチコガネ、冬物マグソなどを採りに行っていた豊川市の森へ行って来ました。
狙いがこれと言ってあったわけではなく、久々のフィールドなのでリハビリ的な感じで来たのですが、冬物マグソの残り香を求めつつ、ネブトの入っていそうな良い松の材がないかを探して1時間半ほど彷徨いました。
ここでは鹿、イノシシ、猿の落とし物が見られますが、この日は新鮮な落とし物は散歩に来た犬のものと思われる物がコンクリートの上にあったのみで、あとは全てカチカチになった古い物のみでした。一応それらもチェックはしましたが、残念ながらマグソは入っておらず。残念。ネブトの材も、これといって見当たらず…。
そんな中、足元にキラッと光る物を発見。
オオセンチコガネでした。
スレスレなので越冬個体だと思われますが、枯葉の上に静止したまま触覚を大きく広げて動かし、新鮮なエサを探しているようでした。
ここは私が初めて地元産オオセンチを採った思い出の場所であり、その時の思い出がフラッシュバックします。さらに、冬眠から覚め、新鮮なエサを探しているという状況が、何だか今の私の状況とも重なり、このオオセンチには妙に親近感を覚えてしまいました(笑)。
そんなことを考えていたら、このオオセンチを採って〆ようなんていう気にもなれず、写真だけ撮ってリリース。以前、むし社の『日本のオオセンチコガネ』用に標本を頼まれてここで牛の落とし物トラップを仕掛けた際には、大量のオオセンチが採れたので、個体数はそれなりにいるものと思われますが、この日見たオオセンチは結局この1頭のみでした。
その後もしばらく、道なき道や獣道の斜面をウロウロ彷徨いましたが、ふと開けた場所に出た時に、5mほど先の、陽の当たっている杉の木の幹に、何か違和感を覚えました。近寄って見てみると…。
ガでした。それも、これは…
イボタガ!
時期的に旬なガですが、こんな真っ昼間に、お天道様に照らされた姿で見るとは思わなかったので嬉しくなって写真を撮りました。
私はガはどちらかと言うと苦手なのですが、カトカラの仲間とこのイボタガだけは、翅の紋様や色彩の美しさに惹かれていて、先月末に名古屋で羊さんやナナナさんとお会いした際にも、そんな話をしていたところでした。しかしイボタガに関しては、十数年前にその存在を知ってから、恐らく野外でその姿を見たことはなく(それ以前に他の虫の採集の際に見かけたことはあったかもしれませんが、イボタガと認識はしていなかった)、当然標本も持っていないので、これは持って帰りたいところでしたが、この日はフン虫狙いでしたのでスミロンチューブと吸虫管しか持って来ておらず、採集は断念。
イボタガと言えば、その高級絨毯のような模様が魅力的なのですが、下のリンクのブログに載っていた、水面に落ちていた翅を広げた死骸の画像が擬態のフクロウの顔のようで何とも美しく、いつかは自分で展翅して、その美しさを間近でじっくり見てみたいと思っています。
もっとも、私は鱗翅目は数年前に数体のカトカラを展翅したことがあるのみで、さらにそこからブランクもありますから、仮にこの日採って帰ったとしても、きっとボロボロの標本になってしまっていたことでしょう。
結局この日は、このオオセンチとイボタガに出会えたのみでしたが、久しぶりにフィールドを歩いて虫を探す感覚を味わえて、リハビリも多少は進みました。これから少しずつ、進めていこうと思います。