クロツツマグソ採集とピンセット
2010年 11月 12日
夜勤明けの眠い目をこすりながら、曇って少し肌寒い山の中を歩いて手頃な倒木や落ち枝を捜します。
とりあえず適当に落ち枝を手に取りピンセットで樹皮を剥がしてみると、コクワガタの幼虫が顔を出しました。この山はクワガタの多い事で知られていて、夏にはそれを目当てに沢山の家族連れが採集に訪れます。クヌギなどの枯れ枝(直径5cm程度のもの)でも状態が良ければ幼虫が出てきます。やっぱり多いんだな~。
ちなみに、「クロツツマグソを採集に来ました」と言っても、数年前この山で同じようにクロツツマグソ採集に挑戦しているのですが、その時は1頭も採れませんでした。なので、採れる保障は全くありません…(笑)。
しかし何本目かの落ち枝の樹皮を剥がすと、ポロッと何か黒い物が下のバットに落ちました。摘み上げると……やった、クロツツだ!

…って、見えないですね(笑)。では拡大写真。

いやー、こんな簡単に採れるとは。少し拍子抜けです。数年前は何度通っても全く成果がなかったというのに…。
周辺を同じように探していくと1頭、また1頭と出てきます。

しかし…………蚊。蚊が凄いのですよ、さっきから…。もう寒いしいないだろうと思っていたのですが、プ~ンと絶えず自分の周りを何頭もの蚊が飛び回っています。しかも夏のよりデカイ! 長袖に軍手をしていたので手は大丈夫でしたが、顔とクビをボコボコに刺されてしまいました。うう、痒い……。おまけにちょくちょくオオスズメバチらしきハチが大きな羽音を立てて頭上を飛んでいきます。こちらもまだ活動してるのか…。この辺に巣があるのかな……。
とりあえず今回のクロツツは数が欲しいわけではなかったので、採集開始から約30分で8頭ほど出したところで採集を切り上げました。蚊の襲来がなければもう少し粘りたかったのですが…。
…余談ですが、自分にとってクロツツマグソとの最初の出会いは2006年末の奈良での採集でした。
この時非常に印象に残っているのは、チャッピーさんが倒木や落ち枝の樹皮を剥ぐのに、持つところは太くて先端3cmほどだけ細くなっている形のピンセットを使っていたことでした(鹿の落し物の中のフン虫もこれで採集されていました)。
自分はこういう形のピンセットをこの時初めて見たので、それを器用に操りペリペリと樹皮を剥ぎ虫を摘んで行くチャッピーさんの手際に、「かっこいい…」と見とれてしまっていたのでした(笑)。
その後、標本制作用に少し値の張るこの形のピンセットを買いましたが、それとは別に採集用にと買っておいたこの形のピンセット(勿論安いやつです)があったので、今回はそれを使い採集に臨みました。奈良でのチャッピーさんのように、樹皮をペリペリとピンセットで剥いで行く感触はたまりませんでしたよ…(笑)。
しかし、樹皮を剥いでクロツツが出てきても、慣れないピンセットだったのでうまく摘むことが出来ず、結局採集には吸虫管を使ったのですが……(苦笑)。
でも、今回の採集の一番の功労者は、このピンセットだったかもしれません…(笑)。
